弘法大師空海が朝廷に宛てた手紙の中でこう書いています。これは密教の道場の建設のために高野山の地を譲り受けたいと申し出る際、その発見にいたった経緯を記したものです。弘法大師が若き日に遥か吉野から高野山までの道のりを歩いたことを伝えています。
弘法大師は18歳で都の大学に入学します。当時の大学の授業は儒教中心のカリキュラムで国を運営する官僚を育成することが優先され、社会を良くし民衆の幸福のために役立つ学問の追究の場ではなくなっていました。「世の中を変えたい」、「人々を救いたい」と願う大師は次第に限界を感じるようになります。
また当時、都の寺院は広大な水田を所有するようになり、貴族のような豊かさを誇っていました。そこに止住する僧侶は戒律を破り、俗世間とかわらない堕落した生活を送っていました。都の腐敗した姿に嫌気がさし、大師は20歳になると大学を去ってしまいます。その後、生涯にわたって大師をサポートする和泉国槇尾山寺の勤操大徳のもとで出家し、本格的に仏教を志します。一説では、この頃に大師は奈良大峰山で山林修行に入り、すでに高野(たかの)とよばれる土地に足を踏み入れていたと言われています。
praying for 1200 years
alongside Kukai
高野山開創1200年記念大法会は平成27年5月21日をもって無魔成満いたしました。皆様に深く御礼申し上げます。
国、社会の安寧とそこに住まう人々の幸福のために
祈りをささげる場所として一つの寺院を建立する。
国、社会の安寧とそこに住まう人々の幸福に
寄与しうる人材を育成する道場を建設する。
the special exhibitions during the commemoration service period
伽藍金堂の御本尊は昭和9年の弘法大師千百年御遠忌を記念した金堂の再建に伴い新造された薬師如来(阿閦如来)です。大法会に際して、80年あまり厨子に安置され、秘仏となっていた御本尊が開帳されます
金剛峯寺持仏に安置される御本尊、弘法大師座像は廷宝(1680)、検校文啓の支持で制作、持仏に安置されました。今回の御開帳は平成の大修理落慶代法会以来、16年ぶりとなります。
高野山開創1200年記念大法会
~1200年、祈りの光景~
平成27年4月2日から5月21日の50日間には高野山真言宗の寺院とその檀信徒、他の宗派や寺院、あるいは僧侶や一般の別を問わず、日本全国から弘法大師を慕う人々が高野山を訪れて毎日、法会が行われます。
壇場伽藍、奥之院をはじめ、山麓の慈尊院や丹生都比売神社など、弘法大師ゆかりの地を舞台に開創以来1200年目の壮大な祈りの光景が高野山上にひろがります。
高野山結縁行脚では、高野山開創のシンボル「飛行三鈷杵」(複製)、これをかたどった「撫で三鈷」、奥之院に灯り続ける「不滅の聖燈」が日本全国を巡り、各地の寺院では記念の法会や催しが行われます。
hikou sankosyou
唐への留学で師である恵果和尚から密教のすべてを受け継いだ弘法大師は日本への帰路にあって、自身が望む密教の道場建設に適した場所を指し示すよう祈り、密教の祖である龍猛菩薩から受け継がれた仏具、三鈷杵を唐の明州の浜辺から投じます。すると三鈷杵は五色の雲に纏われて日本に向けて飛び去り、遥か高野山上の松の枝に架かっていたといわれています。この松は現在の壇上伽藍御影堂の前に立つ、「三鈷の松」として知られています。
この伝承は高野山開創の起源をひもとく鍵となるエピソードの一つとして語り継がれ、弘法大師に高野山の場所を指し示した飛行三鈷杵は、そのシンボルとなっています。
The reconstruction of Chumon Gate/the enshrinement of Shiten Statues
1200年前、密教の道場建設にあたって弘法大師空海が思い描いた構想の中に中門はすでに存在していました。その伽藍諸堂の中でも重要な中門が天保14年(1843)に焼失して以来、172年ぶりに再建されました。これにあわせ、前期中門に安置されていた持国天と毘沙門天(多聞天)の二天に加えて新造された増長天と広目天が安置されました。大法会、初日4月2日には落慶の大曼荼羅供が執り行われます。
中門全景
新造された増長天
中門はこれまで1200年の長い歴史の中、焼失と再建を繰り返して来ました。天保14年(1843)の大火により大塔、金堂、御影堂とともに焼失した後は再建されることなく172年間、中門跡として礎石だけを残していました。簡単にその歴史をご紹介いたします。
the museum of Koyasan Reihokan
高野山開創1200年記念特別展のご案内
大法会限定特別公開
the three major treasures of Koyasan and a Kaikei’s masterpiece,the statue of Kujakumyooh
1200年を迎えた平成25年の大法会期間中、霊宝館では高野山の三大秘宝といわれる「諸尊仏龕」、「飛行三鈷杵」「聾瞽指帰」「諸尊仏龕」を期間限定で同時公開いたします。
「諸尊仏龕」は、唐からの帰国の際に大師自らが持ち帰った経典や仏像など、数々の請来品に含まれていました。弘法大師以前の七祖が密教正系の証として受け継ついだものとされ、その造形には密教の源流であるインド様式を色濃く顕しています。
「飛行三鈷杵」とは、唐で密教を修めた弘法大師が帰国後にその道場を建設するための場所を指し示すように願い、明州の浜辺から日本に向けて自身が持つ三鈷杵を投げたところ、高野山に飛来したという伝承に由来しています。この伝承から、「飛行三鈷杵」は高野山開創1200年のシンボルにもなっています。
弘法大師空海は嵯峨天皇、橘逸勢とともに平安の三筆に数えられます。その大師の自筆であり、仏教を志した若き日の出家宣言書とも言える「聾瞽指帰」、その瑞々しく豪快な筆致を堪能してください。
高野山開創1200年記念展
the treasure of Myojin Deities
壇上伽藍の御社に高野山の鎮守として祀られる丹生・高野両明神。平成16年に行われた本殿保存修理の際、懸仏や刀剣など多数の奉納品が発見されました。高野山開創に深く関わった両明神の御神宝を一挙公開いたします。
梵字懸仏
大日懸仏
高野山開創1200年記念
金剛峯寺では、この大法会に際して来山、献香料3,000円を納めていただく客様に、法会の会場、金剛峯寺施設をスムーズに参拝いただける「高野山開創1200年参拝証」を発行いたします。
この参拝証をご利用いただくと、大法会期間中の会場となっている壇上伽藍大塔、金堂、金剛峯寺、大師教会をはじめ、高野山霊宝館や徳川家霊台の6カ所を拝観していただけます。また特典として、期間限定でご用意する記念品を進呈いたします。
多くのお客様の来山が予想される大法会期間中は混雑の緩和のため、
無料駐車場の増設とバス路線の増設を行っております。
期間中、駐車場毎に相当の混雑が予想されます。お車をおとめいただき、その後はバスのご利用いただく、「パーク&ライド」にご協力ください。
「大門南駐車場」と「奥の院前」停留所間は9:30~18:30の間、臨時増便しております。期間中、パーク&ライド向けとして、1日フリー乗車券(500円/高野山駅方面、女人道まで)を大門駐車場、宿坊教会(中央・中の橋)で販売しておりますので、ご利用ください。
多くのお客様の来山が予想される大法会期間中は混雑の緩和のため、
無料駐車場の増設とバス路線の増設を行っております。
無料駐車場をご用意しておりますので、高野山内マップをダウンロードいただき、参照の上ご利用ください。
一部駐車場は夜間(19:00から翌朝8:00まで)の間、ご使用いただけませんので高野山内マップでご確認の上、ご了承ください。
障害者等用駐車場
①伽藍中門前
②乗用車第4(霊宝館)
③乗用車第8(金剛峯寺前第2駐車場)
④乗用車第12(中の橋)
駐車場内で発生した盗難、事故等につきましては総本山金剛峯寺では一切の責任を負いかねますのでご了承下さい。
大法会期間中の参拝に関するご質問をQ&A形式でお知らせいたします。